パソコンとスマホを会社に持っていき、手続きを終え、部署の人に挨拶をして、退社した。このエレベーターに乗るのも、このトイレを使うのも最後になるのかな、としみじみした。
フジファブリックのエイプリルという曲の歌詞「何かをはじめるのには 何かを捨てなきゃな / 振り返らずに歩いていった そのとき僕は泣きそうになってしまったよ」を思い出しながら歩く。
帰りは特に用事もなく、あてもないので、就職して上京したときに最初に住んだ街に行って散歩した。ネットがまだ家にひけてないときにPCメールの送受信が必要になり、駅前のスタバを頼ったこともあったし、飲み会のあとに駅から出たらちょうどスカイツリーの光がふっと消えて印象にのこった日もあったし、会社にいきたくなくて体調が悪い気がして内科に行ったこともあった。10年経って、思ったほど街の様子は変わっていなかったし、思ったより脳内マップに色んなお店情報が刻まれていて驚いた。でも10年前の自分はもう他人だなぁ、と思った。ここで〇〇をしたな、とか、ここの△△が美味しくてよく食べたな、というエピソードは思い出せるが、あの頃考えていたことはあんまりもう思い出せない。でも、その頃の自分がなければいまの自分もいないはずなので、当時考えていたことが思い出せないのもなんだか不思議である。
一通り散歩したので、その街に住んでいたその当時、土日にやることがなくて気持ちがしおれてきたらやっていた「HUBでフィッシュアンドチップスを食べながらビールを飲む」を久しぶりにやってみた。ビールを飲みながらスマホを見て、熊本で大きな地震があったことを知る。
ちょうどこの街に引っ越してきたころに10年前の地震があったのだった。去年熊本に旅行しにいって、復興を積み重ねてきた様子を見たので、なんだかやるせない気持ちになる。でも当地に住んでいる人たちの思いはもっと深いだろう。いまはまずできるだけ多くの人の無事と、辛い天候やさらなる大きな揺れが熊本を襲わないことを祈る。