おいしさはやさしさ

社会人3年目

理想の生き方と、実の生き方と

ここしばらく気持ちが少し忙しなかったのですが、心を落ち着けようと毎日通勤中に小説を読んでいました。

 

ことり (朝日文庫)

ことり (朝日文庫)

 

 わたしとは違って、毎日を丁寧に、自分で決めた世界からあえて出ないで暮らしている人の日々を追体験するような小説でした。職人のようだなと思った。

毎日、東京の都心を電車で通勤しながら、忙しない街だなと思いながら、なんだか気持ちが乗らないなと思いながら、でもまだ見ぬ何かをきっと求めてわたしは日々を暮らしているんだろう。けど、小説のなかに描かれている、着実で、なんだか理想的に見えて、でも自分が目指すかといわれると少し違う日々を追体験しながら不思議な気持ちになった。

小説のなかにいる人たちは、みんな望んでその生活をしているとは限らないけれど、でも多くを望まず、良く言うと身の丈にあった、悪く言うと上昇志向のない日々を送っているように見える。それに対して満足しているのか否か、読み取ることはできないけれど、自分も日々こんなに頑張らなくてもいいのかもしれない、という気持ちになってしまう小説でもありました(著者が伝えたかったものは決してそこにあるわけではないとも思いつつ)。

 

急に暖かくなって、沈丁花の香りがして、花粉症の症状が出始めて、なんだか憂鬱になる季節です。昔は春が単純に嬉しかったのに、なんだか切なくなってしまうようになったのはいつからなんだろう。そんなぼんやりした気持ちです。ごきげんよう